自由雲台 SL−ZSCシリーズ
自由雲台全体の解説と、
旧製品の詳細です。
新型自由雲台Type−Sシリーズに内蔵されているショックアブソーバーの解説は、
新型自由雲台 Type−Sシリーズのページをご覧ください。
自由雲台 SL−ZSCシリーズ |
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サイズは 3サイズ ・SL−40ZSC (小サイズ) ・SL−50ZSC (中サイズ) ・SL−60ZSC (大サイズ) |
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特許取得・意匠登録済み |
《自由雲台 SL−ZSC 開発のねらい》
この自由雲台は、梅本製作所が開発した「自由雲台SL−ZSシリーズ」を、
徹底的にRE-DESIGN (リ・デザイン 再開発設計) したものです。
もともと「自由雲台SL−ZSシリーズ」は非常に高性能ですから、
この試みでオーバークオリティな製品になってしまうかもしれません。
しかし設計者としての好奇心が抑えきれずにこれを行ないました。
そして、この リ・デザイン は、
3次元CADシステム(コンピュータ支援設計) SolidWorks と、
CAEシステム(コンピュータ支援エンジニアリング 構造解析ソフト)COSMOSWorks を
徹底的に活用して行なわれました。
一設計者が、
「自ら設計した製品を、
再度とことん練り込んでいったらどうなるのか」を
ご覧いただければ幸いです。
有限会社梅本製作所 梅本 晶夫
3次元CADシステムとCAEシステムの解説は、
FAQページの「Q.3次元CADとは、CAEとは何ですか?」をご参照ください。
●仕様 (商品名 高精度自由雲台)
型 名 | SL-40ZSC | SL-50ZSC | SL-60ZSC |
カメラ台サイズ | 65×35mm | 75×40mm | 90×50mm |
基台部直径 | 45mm | 54mm | 65mm |
高 さ | 100mm | 105mm | 120mm |
質量 T形レバー使用時/丸形ノブ使用時 |
240g/250g | 355g/365g | 565g/580g |
カメラ台の傾き角度 通常時/スロット使用時 |
26°/ 92° | 26°/ 92° | 29°/ 92° |
最大積載質量 | 4kg | 5kg | 6kg |
カメラネジ | 1/4(小ネジ) | |
三脚取り付けネジ穴 | 3/8(大ネジ)、1/4(小ネジ) | |
材質 | アルミ合金、真鍮(しんちゅう)、 エンジニアリングプラスチック |
設計・製造 有限会社梅本製作所
※雲台のサイズの選び方は、FAQのページの
「Q. どのサイズの自由雲台を選べばよいのですか?」をご参照ください。
・自由雲台のパン操作について
梅本製作所製の自由雲台には、
パン(カメラアングルの水平回転)のみを行なう機能があります。
特許取得済み
梅本製作所の自由雲台のブレーキ機構は次のように設計されています。
締め付けつまみを締めると、
まずはじめに自由雲台の本体内のボール部が固定され、
続いて自由雲台の底部の基台の回転が固定されます。
ですから締め付けつまみをいわゆる「半締め」状態にすると、
自由雲台の本体と底部の基台の間で、パン回転のみをさせる事ができます。
水平パンします ← | 締め付けつまみを半締めに | → 水平パンします |
実際の撮影では以下のようにします。
まずおおよそのカメラアングルを決め、
締め付けつまみを締めてカメラアングルを仮決めします。
次に水平にパンしたいときは、
締め付けつまみを少し緩めて「半締め」にします。
(このときカメラをもう片方の手でしっかりと支えてください)
適度な「半締め」にすると、
自由雲台の本体と底部の基台との間の固定がゆるまり
水平にパン操作ができるようになります。
このとき、カメラ・ボールは固定された状態を維持しています。
(ご注意:カメラ・ボールの固定力もある程度弱くなっています)
この状態で水平パンを行いカメラアングルを決定します。
そして締め付けつまみをしっかりと締めてカメラアングルの固定が完了します。
この締め付けつまみの「半締め」の具合は多少のコツは必要なのですが、
この操作に慣れていただくとごく自然にできるようになります。
特にわずかな角度のパン操作にはとても便利です。
この水平パン操作は、
2023年現在、梅本製作所ネットショップで販売している自由雲台ですべて行うことができます。
自由雲台 SL−ZSC
● 自由雲台の リ・デザイン 再開発設計の経過説明
この自由雲台は、学習研究社発行 「CAPA」「CAPAオリジナルグッズ開発局」 のページに、2006年6月号から9月号までの 4ヶ月間にわたって、その開発の経過が連載されました。
以下、掲載記事の進行にそって本機の開発の経過を説明します。
なお、使用している画像で特に「写真」との説明のないものは、
3次元CAD SolidWorks 、CAE COSMOSWorks によるものです。
《目次一覧》 | 掲載号 |
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◇ 「剛性体」の配置変更 | CAPA 2006年6月号 |
◇ 「締め付けつまみ」に「丸形ノブ」も採用 ■ 締め付けつまみ の交換の方法 |
CAPA 2006年7月号 |
◇ T ブレ比較テストで「剛性体」の効果を確認 ◇ U カメラ台下部の一体構造化案 ■ カメラ台のCAE(構造解析ソフト)による解析 |
CAPA 2006年8月号 |
◇ 最終確認試験を行い、究極の高精度自由雲台完成 ● 自由雲台SL-ZSC/COG‐ZSシリーズの大きさの比較写真 ● 私の使用感 自由雲台COG−ZSシリーズを三ヶ月使って |
CAPA 2006年9月号 |
◇ 究極の高精度自由雲台の リ・デザイン の総括 |
■「剛性体」の配置変更
CAPA 2006年6月号
「剛性体」とはFAQのページでも説明しているように、
コルクなどのクッションのたわみによるカメラブレを抑制する部品です。
(特許取得)
従来の剛性体はカメラネジを中心としてひし形に配置されていました。
剛性体の配置には、以下の条件を満たす必要があります。
・カメラネジをまたいで一対(2個)の剛性体がカメラの底面と接触すること
カメラやレンズの三脚座の中には比較的面積の小さいものがあるので、
従来の設計ではカメラネジに近づけて配置していました。
この部分のリ・デザインはこの剛性体の配置を
「水平方向に45度動かして、正方形の配置にする」ことです。
これによる技術的な効果には以下のことが考えられます。
例えば、望遠レンズの三脚座を使用してカメラを横位置にセットした場合に、
上下方向のミラーショックが発生します。
2つの剛性体でこのショックを受け持つことで、
カメラブレの減少につながる可能性があります。
昨今の特にデジタル機材は比較的大型化しているので、
剛性体の位置をカメラネジからある程度離しても、
カメラ底部に接触するようになりました。
したがってこの案は技術的に受け入れられるだろうと判断しました。
また、外観意匠上の効果として、
剛性体を正方形に配置することによって、
視覚的な安定感を得ることができます。
以上を総合的に判断して、剛性体の配置を正方形とし、
視覚的に安定した位置にすることとしました。
右の画像はその配置案(50ZS型)です。
三案の中から、視覚的にもっとも安定していると思われる
右画像一番下の配置案を、採用いたしました。
のちに行なわれた、カメラブレ実験によって、
(望遠レンズの三脚座を使用して実験・撮影)
以下のことが確認されました。
・カメラ横位置では、従来型の剛性体の配置に対し、
新配置は、わずかにカメラブレが減少した。
・カメラ縦位置では、従来型の剛性体の配置に対し、
新配置でもカメラブレには変化は見られなかった。
結論:カメラブレの抑制性能が、若干ではあるが向上した。
外観意匠上、視覚的な安定感が増した。
したがって、本設計変更案を採用することとした。
従来の「自由雲台 ZSシリーズ」の締め付けつまみには、
「T形レバー」を採用していました。
しかしユーザーの中には「丸形ノブ」を求める声がありました。
そのため試験的に丸形ノブを試作し、
関係者にモニター評価していただきました。
すると従来の「T形レバー」を支持する意見と、
「丸形ノブ」を支持する意見とがありました。
従来の「T形レバー」の利点は、
・締め付け操作に、力を要しないこと
・手袋をしていても操作がしやすいこと
・軽量であること
・締め付ける角度(加減)がわかりやすいこと
です。
「丸形ノブ」の利点は、
・どの位置からでも指がかりがよいこと
・比較的に外観意匠性が高いこと
です。
そこで以下の結論を出しました。
結論:
従来の「T形レバー」と、
新たに設計した「丸形ノブ」のどちらかを、
ユーザーが選択できるようにした。
また、締め付けつまみの交換はユーザー自身が容易にできるので、
「T形レバー」 と 「丸形ノブ」 をパーツとして別売することとした。
・「締め付けつまみ」の締め加減は、
FAQのページの
「自由雲台の締め付けつまみは、どのくらい締めればいいのですか?」
を参照してください。
特に「丸形ノブ」をご使用のさいは、このなかの、
「◆自由雲台の「丸形ノブ」について」を、
ご覧になってください。
「締め付けつまみ」の締め加減がよくわかります。
「T形レバー」の お求めはこちら |
「丸形ノブ」の お求めはこちら |
左の写真は、 「T形レバー」と 「丸形ノブ」を 操作しているところです。 左の写真のカメラ台は最終形状のものです。 |
締め付けつまみ の交換はユーザー様が、容易に行うことができます。
(締め付けつまみの先端は、ネジになっています)
以下に写真を参照しつつその手順を簡単に述べます。
ご注意 交換作業は、手順通り正確に行なってください。
「締め付けつまみ」は、
SL−40シリーズ(小サイズ)
SL−50シリーズ(中サイズ)
SL−60シリーズ(大サイズ)
それぞれ専用です(転用できません)。
・用意するもの
・下に敷く新聞紙等
・きれいなぼろ布(外した締め付けつまみのネジ部を拭き取るため)
・ビニール袋(外した締め付けつまみを保管する)
・締め付けつまみを外す
下に新聞紙などを敷いておきます。
今ついている「締め付けつまみを」、反時計方向に 6〜11回転ほど回します。
(自由雲台のサイズによって、回転数が異なります)
すると、「締め付けつまみ」が、雲台から外れます。
つまみのネジ部分には、黒っぽいグリースがついています。
このとき雲台のネジ穴の中に、異物が入らないようご注意ください。
・新しい締め付けつまみを着ける
新しく取り付ける「締め付けつまみ」の先端のネジを、
今外した雲台のネジ穴に合わせて時計方向に回転させ、
ゆっくりとねじ込んでいきます。
このときに力は必要ありません。
ネジがきちんとかみ合っていればスムーズに入っていきます。
もし「ネジがかたい」と感じたら、無理をしないで戻してください。
ネジがかみ合っていないことが考えられます。
「締め付けつまみ」に軽く抵抗がかかり始まったところで取り付け完了です。
念のため 締め付けつまみを締めたりゆるめたりして、
雲台の動作を確認してください。
・外した締め付けつまみを保管する
外した「締め付けつまみ」は、
異物がついたりしないように大切に保管してください。
ネジ部に黒っぽいグリースがついていますので、ビニール袋などで保管するとよいです。
もし、グリースを拭き取るときには、きれいなボロ布などで拭き取ってください。
完全に拭き取る必要はありません。
■ T ブレ比較テストで「剛性体」の効果を確認
U カメラ台下部の一体構造化案
CAPA 2006年8月号
T ブレ比較テストで「剛性体」の効果を確認
「剛性体」のカメラブレの抑制能力を確認するため、車チャートを使用したブレ比較テスト撮影を行ないました。
(特許取得済み)
このテスト撮影では、雲台は
・従来型
「50ZS型(剛性体はひし形配置、つまりFP‐100ZSN型)」
・比較用「50ZS型の剛性体なしのモデル(コルクのみ)」
・「50ZS型(剛性体は正方形配置)」
の3タイプを比較しました。
《撮影データ》
・カメラ ニコンD200
・レンズ AFニッコールED300ミリF4S(ミラーアップなし)
・三脚 ベルボンカルマーニュ630U
・撮影距離 6m
・被写体 矢車チャート
(実験の詳細はFAQのページの
「Q.カメラ台の4つの黒丸(剛性体)は
本当に効くのですか?」
に掲載してありますので、参照してください)
実験結果をシャッタースピードを中心にまとめると、
・1/60秒より早いシャッターでは、カメラブレは観測できなかった。
・1/30秒程度のシャッターで、雲台のみを原因とするカメラブレが発生する。
特にコルクなどのクッションに起因する大きなカメラブレが、
このシャッタースピードで観測された。
そして剛性体がこのカメラブレを効果的に抑制することを確認した。
・1/15〜1/8秒程度のシャッターでは、
三脚、雲台、レンズの三脚座などがお互いに影響しあい、ブレが発生する。
・1/4秒より長いシャッターでは、カメラブレは徐々に収束していく。
以上のようになります。
また剛性体の正方形配置は、カメラ横位置で従来品に比べて、
ブレの抑制能力が若干向上していることが確認されました。
結論:「剛性体」はカメラブレの抑制能力がある。したがって元設計の正しさが証明された。
U カメラ台下部の一体構造化案
従来のカメラ台の下部は、下板と側壁との組立構造になっていました。
この部分のリ・デザインはカメラ台下部を一体構造化することです
これによる技術的な効果には、以下のことが考えられます。
カメラ台下部の形状と寸法が最適化することができ、
それによってカメラ台の剛性が高まり
カメラブレの減少につながる可能性があります。
また外観意匠上の効果としては、
カメラ台下部の形状をある程度自由に製作することができるので
意匠性が高まる可能性があります。
カメラ台下部の一体構造の形状には様々な形が考えられます。
その中から、いわゆる「小判形」にすることとしました。
(江戸時代の小判に形が似ていることから「小判形」と呼ばれています)
小判形の部品の加工は以下のように行ないます。
丸棒の素材を「輪切り」にして、 通称「めんこ」と呼ばれる形状にします。 |
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次に、内径を切削加工して 「おぼん」のような形状にします。 |
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両サイドをカットして、「小判形」の出来上がりです。 |
このCADモデルの寸法は、現状のカメラ台下部の寸法に合わせました。
下板部分の厚みが t 4.0mm
側壁部分の厚みが t 6.0mm です。
■ カメラ台のCAE(構造解析ソフト)による解析
さて、この形状でカメラ台の剛性はどうなるのでしょうか。
CAE(構造解析ソフト)で解析してみましょう。(‐50ZS・中型)
上板の厚みは従来どおり t 4.0mm としました。
(なお、カメラネジとカメラネジ締め付けホイールは、省略しています)
「条件 A」 カメラ台の下にある「フランジ」を固定し、 左はこの条件での解析画像です。 (以下この条件を、「条件 A」とします) 図は変位を表します。 見やすくするために変形を拡大しています。 |
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「条件 B」 カメラ台の下にある「フランジ」を固定し、 左はこの条件での解析画像です。 (以下この条件を、「条件 B」とします) 図は変位を表します。 見やすくするために変形を拡大しています。 |
上の解析結果を見ると、なかなか良好な結果です。
ためしに、上板の厚みを減少させてみます。
上板の厚みは従来の t 4.0mm → t 2.5mmとしました。
さらに「フランジ」も無くしてみましょう。
カメラ台と、「ボール」から伸びる「支柱」が、直接接続される状態を表します。
それでは、解析してみましょう。
「条件 A」 上の条件Aの画像と比べてみてください。 |
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「条件 B」 上の条件Bの画像と比べてみてください。 |
やはり上板の厚みを減少させるわけにはいきません。
また「フランジ」を無くす事は、難しいようです。
念のため、上板の厚みは従来どおり t 4.0mm とし、
「フランジ」のみを無くしてみました。
解析結果を下に示します。
「条件 B」 上の条件Bの画像と比べてみてください。 |
やはり「フランジ」の効果は大きく、
剛性を確保するために欠かせない部材であることがわかりました。
以上の解析結果から、次のことがわかります。
・上板の厚みは従来どおり t 4.0mm(‐60ZS型は t 5.0mm)にすべきである。
・「フランジ」も従来どおりにするべきである。
では、先ほど作成した「小判形」のカメラ台下部の寸法は、最適なのでしょうか。
内部機構の許す範囲で、内側に向かってわずかに肉厚を拡大します。
下板部分の厚みを t 4.3mm
側壁部分の厚みを t 6.75mm にします。
(拡大幅が少ないので、見た目ではほとんどわかりません)
解析結果を下に示します。
「条件 A」 一番上の条件Aの解析画像と比べてみてください。 |
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「条件 B」 一番上の条件Bの画像と比べてみてください。 |
明らかに、変位が小さくなっています。つまり、剛性が大きく向上しています。
そのために、かかった質量の増大は、2.2gにすぎません。
同様に、‐40ZS、‐60ZSでも寸法の最適化を行ないました。
結論:「カメラ台下部」は「小判形」の一体構造とする。
その寸法はCAE解析によって最も剛性の高い寸法とする。
カメラ台の上板の板厚は、
従来どおり t 4.0mm(SL−60シリーズは t 5.0mm)とする。
「フランジ」は、剛性の確保のために必須である。
したがって従来どおりの寸法で、これを採用する。
そしてカメラ台下部を一体構造化することによって、
外観意匠性を高めることが出来る。
■ 最終確認実写試験を行い、究極の高精度自由雲台完成
CAPA 2006年9月号
CAPA 2006年6月号から8月号までに行なった
リ・デザイン 再開発設計計画を取り入れて、量産試作をしました。
そして、各サイズ
・SL−40ZSC (小サイズ)
・SL−50ZSC (中サイズ)
・SL−60ZSC (大サイズ) の、
最終確認試験として、カメラブレの比較テスト撮影を行ないました。
撮影データ (各サイズ共通)
・カメラ ニコンD200
・レンズ AFニッコールED300ミリF4S
(カメラとレンズの総質量 2.3s)
絞りF16 シャッター1/30秒 (ミラーアップなし)
・三脚 ベルボンカルマーニュ630U
・撮影距離 6m
・被写体 矢車チャート
● SL−40ZSC (小サイズ)
の比較テスト撮影データ(カメラ横位置、カメラ縦位置)です。
下の写真はテスト撮影を行いその矢車チャートの要部を拡大したものです。
(写真をクリックすると、100%の写真がご覧いただけます)
● SL−50ZSC (中サイズ)
の比較テスト撮影データ(カメラ横位置、カメラ縦位置)です。
下の写真はテスト撮影を行いその矢車チャートの要部を拡大したものです。
(写真をクリックすると、100%の写真がご覧いただけます)
● SL−60ZSC (大サイズ)
の比較テスト撮影データ(カメラ横位置、カメラ縦位置)です。
下の写真はテスト撮影を行いその矢車チャートの要部を拡大したものです。
(写真をクリックすると、100%の写真がご覧いただけます)
以上のような結果になりました。
35ミリ換算で450ミリ並みの画角であることを考えるとどれもみな優秀な結果といえます。
また同じカメラと同じ三脚を使って同一条件で撮影したときに、
SL−40ZSC → SL−50ZSC → SL−60ZSC の順に、
カメラブレが小さくなっていくのはとても興味深いことです。
雲台を選ぶ時の参考にしていただければ幸いです。
● 自由雲台 SL−ZSC の大きさの比較写真
自由雲台SL−ZSCシリーズ/SL−ZSC Type−Sシリーズ
の各サイズの大きさを比較してみましょう。
(自由雲台のカラーは見やすくするためにシルバーを使用しています)
載せているカメラは以下のとおりです。
・カメラ ニコンD200
・レンズ AFニッコールED300ミリF4S
・カメラとレンズの総質量 2.3kg
SLl-40ZSC/SL-40ZSC_Type-S(小サイズ)も同じ大きさです。 小型の自由雲台ながらとてもしっかりしています。 私が旅行に持っていくのならば、 |
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SL-50ZSC/SL-50ZSC_Type-S(中サイズ)も同じ大きさです。 操作感、安定性のバランスが非常に良いです。 「常用の自由雲台としてどれか一台」 |
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SL-60ZSC/SL-60ZSC_Type-S(大サイズ)です。 さすがに、抜群の安定性を誇ります。 「大は小を兼ねる」を地でいっています。 絶対的な安定性欲しいときは、 |
※雲台のサイズの選び方は、FAQのページの
「Q. どのサイズの自由雲台を選べばよいのですか?」をご参照ください。
● 私の使用感 自由雲台SL−ZSCシリーズを使って
自由雲台 SL−ZSCシリーズの量産試作品が完成したのが、
’06年8月のはじめでした。以降、自由雲台 SL−ZSCシリーズを使ってきました。
ここでは、その感想を述べてみたいと思います。
・外観 正直に「SL−ZSCはかっこいいなあ」と思います。各部のバランスが、とてもよくなりました。 |
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・締め付けつまみ「丸形ノブ」の使い心地 これも、なかなかよいものです。 「丸形ノブ」を操作するときにはノブを手のひらで包み込むようにします。 この「丸形ノブ」は手のひらにすっぽりとおさまり、 |
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・量産試作品と量産品 ’06年 8月のはじめに量産試作品ができ、しばらくはそれを使っていました。 |
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・カメラの着脱性の向上 驚いたのは、カメラの着脱がよりスムーズになっていることです。 また「カメラネジ締め付けホイール」を回転させているときの軽い金属音もけっこう気に入っています。 |
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・剛性の向上 カメラを、自由雲台 SL−ZSCシリーズ にセットして撮影操作に入ると、 これには、試作品を使って実写試験をしているときに気づきました。 |
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・耐カメラブレ性能の向上 ブレに対する「剛性の向上」の効果は 例えば、今まで当ホームページの写真撮影には、 撮影の「現場」は工場の「製造現場」なので、機材が少しでも小さいのはとても助かるのです。 すると、 |
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・操作感 今回の「再開発設計」では、雲台内部の設計には手を入れませんでした。 おそらく剛性の向上が自由雲台のスムーズさをよりいっそう引き立てているのだと思います。 |
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・結論 このプロジェクトを「やってよかった」です。 |
■ 究極の高精度自由雲台の リ・デザイン の総括
CAPA 2006年9月号を終えて
梅本製作所が開発した「自由雲台SL−ZSシリーズ」の
RE-DESIGN (リ・デザイン 再開発設計) はこうして完成しました。
振り返ってみますと、もともと非常に高性能な「ZS型自由雲台」の、
リ・デザイン 再開発設計は、とても大変なことでした。
でも、「今できることは、すべてやりつくした」ように思います。
そして「究極のバランス」になったと自負しています。
しかしこの リ・デザイン 再開発設計は、もしかすると「やりすぎ」てしまったのかもしれません。
また当然のことですが、
SL−40ZSC(小サイズ)が旧モデルの(中サイズ)を超えるなどということはありません。
そして リ・デザイン をやりとげた今、
「技術には終わりはない」 のだなということを、つくづく感じています。
※今回の リ・デザイン 再開発設計で触れなかった部分は、
従来の「自由雲台SL-ZSシリーズ」とまったく同一です。
それらの部分の説明は
を参照してください。
会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。